ペットを海外から日本へ輸入する方法【愛犬・猫のためにも安全に日本へ】

海外(イタリア)から日本に犬や猫などのペットを輸入する方法について、経験者の私がわかりやすく説明したいと思います。

私は、猫2匹をイタリアから日本へ輸入しました。

国をまたぐと法律や常識が変わってくるため、なかなか日本の指示通りうまくいかないこともありますが、実際に経験して思ったのが、ポイントを理解していればそこまで難しくないということ。

おそらく、これを読んでる人は必要性に迫られている人が多いと思いますが、健康状態に伴うリスクが大きいため一時帰国や旅行でペットを輸入するのは絶対にオススメしません。

海外から日本への引越など、やむを得ない事情であればしっかりポイントを押さえてペットのリスクを最小限に抑えましょう。

※情報は執筆時のものになります。あくまでも参考にとどめ、最新情報は農林水産省動物検疫所のHPを随時ご確認ください。

 

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まず、指定地域かどうかで輸入条件が異なる

まず、お住まいの国が指定地域指定地域かでペット輸入の方法が変わってきます。

指定地域は、アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムの6地域のみになります。

指定地域にお住まいの方は、「犬、猫の日本への入国 (指定地域編)」に詳しい手順が記載されています。

上の6地域以外の手順はこちらになります。「犬、猫の日本への入国 (指定地域以外編)

イタリアは6地域以外になるため、後者の手順を詳しく説明していきます。

 

おおまかな手順

順番 内容 備考
マイクロチップの埋め込み
②-1 狂犬病予防注射1回目 ①と同日可
②-2 狂犬病予防注射2回目 ②-1から30日以上後 ※注1
狂犬病抗体検査 ②-2と同日可
日本到着まで180日以上の待機 ③の採血日の翌日からカウント
事前申告 入国する40日前までに申告
出国前検査 出国前10日以内
証明書の取得 ※注2
日本到着後の検査 通常なら30分程度

おおまかなな流れはこのようになります。

この手順の計算でいくと、1回目の予防注射を行い、30日後に2回目の予防注射を行えば、その後180日後には日本に入国できるため、およそ7か月の準備期間が必要だと思うかもしれません。

しかし、ペットのことを考えるのであればその期間が適切かどうか注意する必要があります。

狂犬病予防注射(ワクチン)の種類にもよりますが、実際に私の猫が接種した狂犬病予防注射は、ペットの健康を考えれば実質1年半以上の準備が必要だった、とあとになって理解しました。

詳しい流れは動物検疫所のホームページを参考にする方が確実なので省略しますが、私が感じた注意すべきポイントをここから書き留めます。

 

日本に移住する可能性が出たら準備を

上記にも記載しましたが、ペット輸入の手順は逆算すれば遅くとも7か月前から準備すれば間に合います。(スムーズにいけば)

しかし、次の「注意すべきポイント」に詳しく書いてますが、ワクチンの種類によってはもっと時間がかかる必要があります。

そのため、日本に住む可能性が出てきたらすぐにでも「マイクロチップの埋め込み」と「ワクチン接種」を行いましょう。

※ワクチンを接種してからマイクロチップを埋め込んでは無効なので、必ずマイクロチップを先に。とくに猫はマイクロチップが義務付けられている国は少ないと思うので、忘れずに!

ワクチン(2回)さえ摂取し180日経過していれば、ワクチンの有効期限が迫ってきても追加摂取でき、残りの手順は⑤からになるので早くても40日後には日本に行けます。

※有効期限内に追加摂取すれば、新たな待期期間は必要ありません。逆に期限が切れてしまったら、もう一度②からやり直しになります。

つまり、数年前から準備したって早くはないんです!むしろ、いざ日本移住となったときにすぐにペットを連れて帰ることができます。

 

注意すべきポイント

詳しい手順は「犬、猫の日本への入国 (指定地域以外編)」の動物検疫所のホームページを参考する方が確実なので、ここでは注意すべきポイントを記載します。

※注1:狂犬病予防注射2回目のタイミング

動物検疫所のホームページには2回目の予防注射は『1回目の狂犬病予防注射から30日以上(接種日を0日目とする)の間隔をあける』とあります。

しかし、抗体ができる期間は狂犬病予防注射の種類によって違います。

日本のペット輸入の規約上では、初回の注射から30日以上経っていれば2回目の狂犬病予防注射を認められていますが、狂犬病予防注射の種類によっては半年や1年あける必要があります。

狂犬病予防注射は通常、一回目の摂取後から抗体を作る準備期間が必要です。準備期間を経てから二回目の狂犬病予防注射を打つことで、より強度な抗体が作られ予防期間が長くなります。

イタリアで私がペットに使用した狂犬病予防注射は初回から1年後に2回目を受けるべきものであり、2回目を受けたあとは3年効果が出るというものでした。※全イタリアの動物病院で同じワクチンが使用されているとは限りません。

つまりこの場合、ペットの健康を考えるのであれば、1回目の注射から1年後に2回目の注射、そしてそこから180日間待機しなくてはいけないため、少なくとも1年半かかるということです。

日本の規約上は1回目の注射から30日以降であれば2回目は受けられます。しかし、本来1年かけて抗体を作るものを、30日後に再び接種するのはペットにかなりの負担がかかり、最悪の場合死に至る可能性もあります。

まずは、かかりつけ医ではどんな種類のワクチンを使っているのか、お住まいの国ではどんなワクチンが一般的か調べる必要があります。

その上で、余裕をもってワクチンを行いましょう。

(そのため、動物病院によっては30日後の二度目の摂取を断るところもあります。)

 

※注2:証明書の取得

動物検疫所のホームページには『輸出国政府機関(日本の動物検疫所に相当する機関)が発行する証明書を取得します』と書いてありますが、動物検疫所のホームページにあるフォーマットを使用するが確実です。

なぜなら動物検疫所のホームページ「手順7 輸出国の証明書の取得」にある(1)~(5)までの事項が抜かりなく明記している必要があるため、他国が発行する証明書に全て記載があるとは限らないからです。

私は、EUで使えるペットパスポートなら政府機関が発行したものなので有効かと思い作ったのですが、蓋を返せば日本ではEUのペットパスポートは認められていないとのこと。

つまり海外の日本の動物検疫所に相当する機関(イタリアならASL)に事前に相談して、日本の基準に合わせてもらう必要があります。(日本の動物検疫所が作成したフォーマットが確実ですし、動物検疫所もそれを推奨しています。)

これは手順➆にあたりますが、実際はもっと早く準備する必要があります。少なくとも日本へ入国する2,3か月前にはかかりつけの動物病院やお住まいの国の動物検疫所(イタリアならASL)に相談したほうがいいです。

日本へのペット輸出に手慣れている場所であればスムーズに事が運ぶかもしれませんが、事例の少ない田舎の場合は時間がよりかかる可能性が高いです。また、海外は日本のようにスムーズに物事が進む国は少ないため、どちらにしても早めの準備が必要です。

とはいえ、実際に動物検疫所がしなければいけないことはサインのみです。

なので、そこまで難しいことではなかった、というのが終わったあとの感想です。

 

証明書の取得について

「手順7 輸出国の証明書の取得」で推奨されているForm ACを使用する場合の手順としては、「記入例」にあるように以下の手順となります。

自分で記入できるところは記入する

『⑥出国前検査』をして、検査を受けた動物病院にてサインをもらう。

最後に輸出国政府機関(日本の動物検疫所に相当する機関)のサインをしてもらう。

最後の輸出国政府機関のサインをもらった後は、内容の訂正が難しくなるため、サインをもらう前に日本の動物検疫所にメールで送って確認してもらうのが確実です。

日付のミスなどがあると、それだけで認められない可能性があるのでここは慎重になる必要があります。

※書類に不備があると180日間の係留または致死処分になる可能性があります。

ちなみに、私たちは⑥は動物病院ではなく、ASLで行いました。従って、⑥と➆の工程は同じ場所で、同日に行いました。さらに、ASLでは検査という検査は行わず、猫のマイクロチップを確認するだけで診察は全くなかったです…笑

 

短頭種は注意

短頭種の犬猫は、そもそも飛行機に乗れない可能性があるため、航空会社の下調べが必要です。

短頭種とは、鼻がペチャっと潰れた種類です。この種類は様々な病気をおこしやすいため、そもそも受け入れをしていない航空会社があったり、夏以外のみ受け入れ可能な航空会社があったりと様々です。

犬の短頭種・・・パグ、ブルドッグ、シーズーなど
猫の短頭種・・・チンチラ・ペルシャ・エキゾチックなど

 

わからないことはメールで相談する

不明な点・不安な点・確認したいことがあれば、日本の動物検疫所にメールで相談するのが確実です。↓

主要な空海港を管轄する動物検疫所一覧はこちら(PDF : 247KB)

上記リンクにある到着予定の空港の動物検疫所に問い合わせましょう。

私は羽田空港の動物検疫所に何度か問い合わせましたが、迅速に丁寧な返事を毎回いただきました。

ただ何度か連絡してみて感じたのが、例外はほぼ認められないということです。

前述したEUのペットパスポートが認められていないことも含め、動物検疫所のホームページにある内容が厳格なルールであり、「〇〇は難しそうですが、どうしたらいいでしょうか」と問い合わせても結局は輸入条件を満たしていないと最長180日間の係留となるそうです。

余談ですが、「融通は利かないがしっかり対応の日本」と「融通は利くが適当すぎるイタリア」で板挟みになりかなり振り回され、このペット輸入で両国の相性の悪さを目の当たりにしました。

(なので、イタリア在住の方は早めに準備したほうが良いですよー。私のペットが受けたワクチンのように、二回目は三年有効であれば、2,3年前から準備を進めましょう。)

 

また、「書類はそろったから大丈夫だろう」と自己判断せず、逐一、動物検疫所に提出書類(スキャン)を添付したメールを送り確認してもらいましょう。

これは動物検疫所からも推奨されています。

おそらく、動物検疫所側もペットが可哀想な目に遭わせないよう丁寧に、確実に対応している…と私は感じました。

(実際に、羽田空港に到着してからの検査も、とてもスムーズでペットを思いやった対応に感じました)

 

もし、輸入条件を満たさなかった場合

犬、猫の日本への入国 (指定地域以外編)」に記載されていることを全て行わないと、ペットは以下の措置が取られます。

最長180日間の係留

輸入条件を満たしていない場合、輸入した空港の検疫所で180日間過ごさなくてはなりません。

※“最長”180日間とありますが、メールで問い合わせたところ180日間(以下はない)がデフォルトのような言い方でした。

「かわいそうだけど、180日間で解放されるのか」と考えるかもしれませんが、そう簡単にはいきません!!

検疫所で係留されますが、ペットシッターが面倒をみてくれるわけではありません。飼い主が毎日空港まで餌を与えに行かなくてはなりません。

また病気や怪我を負っても、施設から出ることはできないため通院もできません。もちろん散歩もできません。

つまり、ペットにとって外に出ることができないストレスフルな180日間を過ごさせることになります。

獣医が必要な場合は、出張可能な獣医に依頼することは可能ですが、施設から出ることはできないため十分な医療を受けられない可能性があります。費用は飼い主の負担になります。

また、毎日餌を与えるのが難しい場合は民間業者に依頼もできますが、もちろん費用は飼い主の負担になります。

そのため、180日間の係留にならないよう輸入条件をしっかり守る必要があります。

 

輸出国への返送

係留を拒否する場合は、輸出国への返送も可能です。

とは言え、返送する際は様々な手続きが必要になりますし、費用もかかります。

そして再び長時間のフライトはペットにとってかなり負担がかかるでしょう。

もちろん、輸出国に戻った際にペット面倒を見てくれる人が必要となります。(飼い主が付き添わない限り)

 

致死処分

係留も返送も不可能な場合は、致死処分となります。

 

つまり条件を満たさなければならない

日本へのペット輸入は条件が多く一筋縄ではいきませんが、それでも係留・返送・致死処分を考えると何としてでも輸入条件を満たす必要があります。

それはお金がかかるだけでなく、ペットの命にもかかわることだからです。ストレスで死んでしまう可能性もあります。

 

ペットを輸入した私の経験談

そもそも飛行機で長旅をさせること自体、ペットに負担がかかり不安でしたが、18時間後ぐらいに会った私の猫たちはとりあえず弱っている様子もなく大丈夫そうでした。

※本当はペットの負担を減らすため、直行便を使用する予定でしたが、直行便(アリタリア航空)を予約した数日後に倒産してしまいました。そのため、ルフトハンザ航空になりましたが、ルフトハンザ航空はペットの扱いが良いと評判みたいで、逆に良かったかもと思っています。

事前のメールによる入念な書類確認もあり、羽田空港についてからはスムーズでした。(空港側も受け入れ態勢が万全で、すでに書類など用意されていました。)

書類確認と猫のマイクロチップの確認だけで、30分もかからなかったと思います。

書類確認と言っても、メールですでに内容は確認しているので事務的なことだけでした。

イタリアの家から日本の家まで、トータル36時間ほどかかり、その間ずっとケージの中にいたのでとてもストレスだったと思いますが、とりあえず健康状態には問題なさそうでした。

猫は環境が変わると負担がかかるので、初日と翌日はあまり食べなかったり、トイレの回数が減って心配でしたが、2,3日後には慣れた様子でした。

現在はよく食べよく出し、のんびりと過ごしています。

 

さいごに

初めてペットを輸入する人は、ややこしくて難しく感じると思います。

また、日本はしっかりしているという利点がありますが、その反面、融通が利かないという欠点がある一方、イタリアは海外の中でもとくに日本と真逆の性質を持っているため、イタリアと日本の相性は最悪だなと思いました…。

(他の海外も似たような感じかと思いますが、イタリアよりマシな国も多いと思います。)

しかし、ペットの健康状態にもかかわるため慎重になることが大事です。

最後に気を付けたいポイント

  • ペットを輸入する際は、(狂犬病予防注射の種類にもよりますが)少なくとも1年半または2年前から余裕をもって準備しましょう。
  • ワクチンの有効期限が迫ってきたら追加摂取も可能なので、日本に住むかもしれない可能性が出てきた時点でとりあえず「マイクロチップとワクチン」は行った方がいいです。
  • わからないことがあれば、「これでいいだろう」と自己判断せず動物検疫所にメールで相談しましょう。
  • 獣医が日付や内容を間違えるケースもあるため、注射の記録や書類の確認は必ず行ったほうが良いです。

 

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コメント

  1. Michiko より:

    はじめまして。大変参考になる情報ありがとうございます。来年の秋に夫と2人で日本へ猫を4匹連れ帰ろうと計画しています。そこで質問なのですが、私たちの国(ブルガリア)からは直行便がないため、ルフトハンザでドイツ経由になるかと思うのですが、経由の際に必要な手続きはありましたか?お教えいただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。

    • ネギ ネギ より:

      >Michikoさん
      私もルフトハンザで連れてきました!
      経由に必要な手続きはとくにありません。
      チケットを取る前に、電話で問い合わせると丁寧に対応してくれるので一度電話してみるといいですよ!
      日本のルフトハンザにかければ日本語で会話可能です。
      私は動物用カーゴで輸送したので、客室連れ込みの場合はまた変わってくるかもしれません。
      4匹も客室に連れて行くことはないかと思いますが、確かカーゴは一便3匹までだった気がします。
      その辺も踏まえて、色々聞いてみてください!

      • Michiko より:

        お返事ありがとうございます!少しホッとしました。航空会社に問い合わせしてみます。ありがとうございました

        • カズ より:

          初めまして、カズです。
          私はスイスに11年住んでおり、色々あり今年日本に帰国しました。
          スイスでは、猫4匹のと犬2匹と暮らしており、この度、猫4匹を日本に空輸することに決まり、今準備中です。
          猫4匹は、貨物と一緒の所に入れられたのですか?
          猫達は無事でしたか?

          • ネギ ネギ より:

            >カズさん
            動物用の貨物室(カーゴ)が飛行機にはあります!
            なので、空調もついており、スーツケースの貨物室とは別になります。
            結果的には、猫たちは無事で今でも元気です。
            言葉が理解できない分、何が起きているのか理解できない状況に長時間さらされていたというのはストレスだと思いますが…

  2. tamapoo より:

    初めまして‼️
    つい先日ネコを連れてイタリアから日本へ戻りました。
    この記事は大変参考になりました、ありがとうございました

    実はイタリアからのペットの輸入は2回目だったのですが、コロナ禍もあり、さらに前回と違うところもあって(獣医で勧められたネコでもanagrafe caninaに登録の必要性など)、よくわからないこともたくさんありましたが、この記事を熟読し準備を進め、滞りなく日本へ輸入ができました。

    本当にありがとうございました

    • ネギ ネギ より:

      >tamapooさん

      嬉しいお言葉ありがとうございます!
      滞りなく日本に連れて行けたとのことで、本当によかったですね!

  3. あゆ美 より:

    イタリアからではないのですが、海外から猫を連れて日本へ引っ越しを考えています。まだこれから準備を始めるのですが、狂犬病注射のこと大変参考になりました。ありがとうございました。

    • ネギ ネギ より:

      >あゆ美さん
      参考になったようで嬉しいです!
      やってみたらそこまで難しくはないですが、ペットの健康にも関わることなので、引越の可能性が少しでもあるなら、とりあえず先にワクチンをしたほうがいいですね!
      ワクチンも少なからず負担がかかるので、ペットの体調に気を付けてください。

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